優れたレポートを書くために
更新日:2003年6月25日
(c) Ken Togo

1.レポート作成のステップ

 優れたレポートを効率的に書くためには、以下の7つのステップが重要です。実際にレポートを作成しながら、この手順を学んでいきましょう。

ステップ1:テーマを決める
 新聞、雑誌、TVなど様々な情報から自分の興味のあるテーマを決める。人は興味の無いテーマについてレポートを書けません。じっくり考えて自分のテーマを決めましょう。ゼミで大きなテーマが与えられているときは、その中で自分の興味のあるテーマを探し出しましょう。

ステップ2:参考文献を探す
 テーマを決めたら、関連する参考文献を読みましょう。書籍、新聞、雑誌などが参考文献になります。インターネットのHPに掲載されている情報は、誰が発信しているかによって信頼度が大きく異なりますから、むやみに信じない方が良いです

武蔵大学の図書館やアジア経済研究所の図書館などの検索ツールを使って検索すると、参考文献が見つけやすいでしょう。

ステップ3:参考文献を読み、読書ノートを作成する。
 参考文献は、はじめから難解なものを読むと効率が悪いです。まずは、日本経済新聞や他の新聞などを読み、自分の興味の対象の関連情報を集めましょう。次ぎに『東洋経済』、『週刊ダイヤモンド』などの経済雑誌、あるいは銀行や研究所(シンクタンク)などが発行している雑誌(例えば『ファイナンシャル・レビュー』、『開発金融研究所報』など)を読むと良いでしょう。

 参考文献はただ読んだだけではだめです。ノートを取りながら読まないと、大切な情報を後で利用できいことになります。必ず読んだら読書ノートを作成すること。ノートには@作者の主張とその根拠、A興味深かった点、B参考になった情報、C本当かなと思った点、の4つは必ず書くようにしましょう。

ステップ4:論文骨子を考える(論証図を考え、批判し、再構築する)
 参考文献を読んで、自分のテーマについて知識が増えたら、自分の主張を考えましょう。レポートを書くということは、自分の考えを他人に伝え、納得してもらうということです。主張の無い文章は、単なる作文にすぎず、レポートとは言えません。他人に自分の主張を納得してもらうためには、力強い論証構造が必要になります。何度も自分で批判を繰り返しながら、力強い論証構造を構築しましょう。論文骨子のスタイルは下に詳しく書いてあります。

ステップ5:論文のスタイルをふまえた草稿を書く
 しっかりした論証構造が出来ても、優れたレポートが簡単に出来るわけではありません。論文には決まったスタイルがあります。構成の作り方、参考文献の引用の仕方などは皆が守るべきルールがあるのです。まずは論文のスタイルをふまえた草稿を書いてみましょう。論文のスタイルについても下に詳しく書いてあります。

ステップ6:草稿を発表し、コメントをもらい改訂する
 草稿を書いてみたら、誰かにそれを読んでもらうか、セミナーで発表してみましょう。他人からコメントをもらうことで、自分では見落としていた問題点が浮かび上がります。

ステップ7:最終校完成
 草稿に寄せられたコメントを参考にして、草稿を改訂し、初めてレポートが完成します。


2.ヒアリングのすすめ

 参考文献や新聞などを読んでいても、今ひとつ自分の論文のテーマが見つからないことがあります。こういうときは、関係分野の専門家の方や現実に仕事をされている方にお話を伺うのも良い方法です。もちろん、あまりに初歩的な質問をしては、相手の方に失礼になるので、事前にその分野についてよく勉強した上で、アポイントをとりヒアリングをしましょう。

アポイントの取得はメイルあるいは電話で行い、自分の興味のある分野、疑問に思っていることなどを述べたうえで「もしよろしければ、お時間を頂き、お話を伺いたい」とヒアリングを申し込みましょう。

ヒアリングのアポイントが無事取れて、お話を伺うことができたら、「面談録(ヒアリング・ノート)」を必ずつけること。このノートには、面談相手の役職・氏名・連絡先、訪問日時を明記し、できるだけ詳しい記述をしましょう。箇条書きだとあとで読み返したときに、せっかくのヒアリング内容が曖昧になってしまう恐れがあります。


3.論文骨子の作成

ここで想定している論文骨子(英語ではprospectusという)とは、これから書く論文の内容を簡略に説明したものです。実際に論文を書き始める前に、この論文骨子を書くことで論文の内容が改善され、完成度の高い論文を書くことができます。

論文骨子に必要なものは以下の内容です。
(1)テーマ
(2)研究動機(なぜ、このテーマを取り上げたのか)
(3)
主張と根拠(言いたいことは何で、その根拠は何か)
(4)参考文献

上の(2)の研究動機では、「このテーマについて、世の中で現在どのような議論がされているのか」を報告した上で、自分の問題意識を報告すると良いでしょう。参考文献がまったくないような論文は、よほどのオリジナルでもない限り、勉強不足を宣言しているようなものですから気をつけてください。


4.論文のスタイル

(以下、木下是雄(1981)、『理科系の作文技術』中公新書を参考としている)

 論文には表題、論文作成年月日、著者所属機関、著者名が必ず記されていなければならない。その後に論文の本文がはじまる。以下は本文の構成と各章(或いはセクション)において何を書くのかを紹介する。

(1) 序論
 序論は通常「はじめに」と記することが多い。序論では以下の内容を報告し、読者に興味を持たせる。
・ 研究動機(なぜこのような研究をする気になったのか)
・ テーマ(何を問題とするのか)
・ 目標(この論文で何が言いたいのか)
・ 方法(研究あるいは分析方法はどのようなものか)
・ 論文の構成(次章で何を報告し、その次の章では何を報告するか、…最後にどんな結論に至るか)

(2) 本論
 本論は、実際に「本論」と名前がつけられるわけではなく、各自のテーマによって固有の名前がつけられる。内容が長くなるときは本論をいくつかの章に分けて報告する。なぜいくつかの章に分けるかと言えば、それは読者にわかりやすくするためである。したがって必要があれば、章を更に分割し、セクションを設ける場合もある。

(3) まとめ
 まとめは、そのまま「まとめ」とすることもあるし、「おわりに」あるいは「結論」とされることもある。要は、ここでは本論の主なポイントを簡潔にまとめ、読者にもう一度この論文の主張をアピールするわけである。忙しい読者は「はじめに」と「まとめ」を読んでその論文を読むかどうかを決めるので、まとめは重要である。

(4) 参考文献
 本文中では、参考文献は「東郷(2000)によれば…」と言うように簡潔に紹介し、論文の後ろに参考文献リストを載せる。リストは以下のとおりの体裁とし(実際には様々なものがあるが、ここでは以下のとおりに統一する)、「ABC」順あるいは「あいうえお」順に論文を紹介する。論文名、雑誌名(書籍名)、発行年などは必ずわかるようにする。

東郷賢(2000)、「経済成長と空間的構造変化」、『経済分析』、第160号、pp.93-122、経済企画庁経済研究所、2000年1月。
Togo, Ken (2002), "Productivity Convergence in Japan's Manufacturing Industries," Economics Letters, Volume 75, No.1, pp.61-67, March 2003, North-Holland.


5.注意すべきこと

レポート作成の際に注意する事項としては以下の4点がある。

(a) 事実と意見をはっきりと区別する。
(b) 自分のした仕事と他人がした仕事の引用とがはっきり区別できるように書く。
(c) 出来るだけ短い文章で文章を構成すること。
(d) 論証構造(主張、根拠、導出過程)をはっきりさせる。


6.ワードの機能を使った文書校正の手続き

一度書いた論文は教員に見てもらったり、学生同士でコメントを出し合ったりして改訂していく必要があります。「完璧な文章」など存在しないと思いますが、何度も改訂することで文章を改善できるはずです。ここではマイクロソフトのワードの変更履歴を使った修正の仕方について皆さんにお知らせします。

(1) 修正された文章を受け取った場合

(a)ワードを開け、「表示」→「ツールバー」→「チェック・コメント」を指定し、ツールバーのところに
チェックの表示が出るようにする。

(b)修正個所は頁の左部分に縦線が表示され、修正案は色つき文字で表示される。

(c)修正案が気に入れば、修正部分をカーソルを使って反転させ、ツールバー左上のチェックの「変更
の承諾」をクリックする。すると文書の修正が行われる。

(d)もし、修正個所が気に入らないときは修正個所をカーソルを使って反転させ、ツールバー左上のチ
ェックの「変更を元に戻す」をクリックする。

(2) 人の文章に修正を入れる場合

(a) 「ツール」→「変更履歴の作成」→「変更箇所の表示」→「編集中に変更箇所を記録する」を選択


トップページに戻る