藥袋佳孝(人文学部教授

MINAI, Yoshitaka: Professor of Chemistry (Doctor of Science)

 

研究活動(研究テーマ)

 

1.       新規機能性物質開発を指向したメスバウアー分光学的研究

鉄を含む新規触媒についてメスバウアー分光法を適用して、鉄の酸化状態や分散状態に関する情報を得た。特に、反応雰囲気下でのスペクトルからin situでの鉄の存在状態を解明した。スペクトルの微細構造から推定した化学種の存在割合と触媒の選択性や反応活性には相関関係がみられ、新たな触媒活性モデルを提案した。

ゼオライト細孔などの立体規制下の元で鉄錯体を合成し、鉄原子周囲の局所構造並びに鉄の酸化状態・スピン状態をメスバウアー分光法により明らかにした。立体規制による構造の歪みやこれに伴う鉄原子の電子状態の異常性がスペクトルから明らかとなった。また、フタロシアニン錯体のように局所構造に変化が起こらない場合も、細孔内の酸点の密度などにより、その収率を制御し得ることが示された。

2.       メスバウアー分光法による鉄の環境化学・地球化学的挙動の解明

海洋底堆積物・岩石などの地球化学的試料や大気粉塵などの環境試料を対象として、メスバウアースペクトルから鉄の存在状態を明らかにした。鉄を含む化学種の存在割合などから、堆積物の成因の解明、岩石の天然環境下での風化による化学的変化、大気粉塵中に占める人工起源物質の割合の推定などについて成果を得た。

3.       海洋底堆積物・火成岩のランタノイド地球化学

海洋底堆積物中のランタノイドなどの微量元素を放射化分析法により定量し、堆積速度やマンガン濃度などの比較から堆積物の成因を解明した。海域による相違やコア試料の分析による地質年代を通じての含有量の変化から、海洋底での堆積機構についての情報を得た。特に、コア試料の分析結果は堆積環境の時代による変遷を物語るものであり、他の地質学的データとも整合する結果が得られた。

4.       溶液並びに固液界面を場とするアクチノイド及びランタノイドの化学

錯体の安定度などの熱力学的パラメーターの測定やレーザー誘起蛍光寿命測定などの分光学的手法の適用により、アクチノイド(III)及びランタノイド(III)とポリカルボン酸やフミン酸などの高分子電解質との相互作用を解明した。レーザー法により得られた残存水和数に関する情報は溶液内での錯体の生成に伴うアクチノイド(III)・ランタノイド(III)の局所配位構造の変化を反映するものであった。また、策生成に伴う高分子電解質分子のコンフォメーション変化に関する情報も得ることが出来た。また、同法は、固液界面に存在するアクチノイド(III)及びランタノイド(III)の化学種の存在状態に関する情報も与えるため、イオン交換体上のこれらイオンの局所配位構造や吸着化学種の同定などに適用することが出来た。

天然高分子電解質であるフミン酸については、環境化学・地球化学的な見地から、錯生成能・固液吸着分配・アクチノイド(III)及びランタノイド(III)の局所構造などについての情報を同様に溶液化学的手法から求めた。これらの実験科学的データは、天然環境あるいは人為的影響を受けた環境の下で、フミン酸との錯体の生成がこれらのイオンの挙動を決定する上で大きな役割を演ずることを示すものであった。

5.       植物中の微量成分の移行挙動と生理活性

シダなどの植物について微量元素の濃縮と種の関係を中性子放射化分析により求めた。これをスクリーニングテストとして、微量成分の濃縮機構をマルチトレーサー法などを用いて解明した。例えば、希土類元素の濃縮を行うシダの種を明らかにし、その濃縮の機構をin vivo及びin vitroでのトレーサー実験などから推定するなどの成果を得ることが出来た。

 

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